ゲームを中断させない。停電などの電源トラブルにUPSを導入。

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ゲームをしていて何が怖いかと聞かれれば、多くの方は画面に映るHPゲージ減少やモンスターやエネミー、または自分の操作ミスと答えるかもしれません。あるいはセキュリティーの甘さによるアカウントハックと答える方もいるでしょう。確かにゲームをプレイする上でそられは大きなウエイトを占めているかもしれません。ですがこれらは全てプレイスキルやセキュリティー強化でどうにでもなる話。

……ですが、自分が気をつけているだけではどうにもならない最大の恐怖が潜んでいることをご存知でしょうか。

そう、停電です。

停電と言っても落雷や災害、電力会社による停電ばかりではなく家庭内での消費電力が上昇したことによるブレーカーダウン、コンセントに足を引っ掛けた等の電源断も広義で停電と行っても良いでしょう。これらの電源断トラブルが生じる可能性は生活のあらゆる場面に潜んでいます。PCに負荷がかかった状態で突然の電源断で起きるのはストレージデータのクラッシュばかりではなくPCを構成するパーツにも大きな影響が生じることがあります。電源ユニットへのダメージが後々に CPUやグラフィックカード、メモリなどへの過給電を引き起こして火災の原因にもなりかねません。火災にならないまでも故障が発生することもあります。ゲーミングPCは総じて高価なパーツが使われているので金銭的なダメージが跳ね返ってくることになります。

こんなことになる前にPCゲーマーによる UPS の導入は必須となりました。

必要に応じて最適なUPSを選ぶには

必須と言ってもこれからゲームを始めたい方や UPS を持っていない方は メーカー、型番、容量と 数多い 機種からどれを選べばいいのかわかりません。ある一定の指標があれば良いのでしょうが、その指標も定格電力消費が何ワットで……と記載されていることが多くて、自分のパソコンの消費電力が何ワットなのかわからないのが当たり前です。環境に合うかどうかを個別に知りたいのではないでしょうか。また、UPSは給電方式も重要な要素になります。一般的にはサーバーなどの瞬断が許されない環境では常時インバータ方式のものを、家庭用PC環境であればラインインタラクティブ給電方式をお勧めしています。今回がゲーミングPCということでラインインタラクティブ方式のものを、現時点でのメジャーなスペックのPCを基準に見ていくことにします。

UPS の VA(皮相電力・ボルトアンペア)表示から対応PCを選ぶ(手動で計算する)場合はこちらを見てください

こうしてお使いのPCの消費ワット数から推奨されるUPSを選ぶのですが、多くの UPS では電力の表記が VA になっています。VA は皮相電力、W は消費電力 なので数字が一致していても利用できる電力はイコールではありません。一瞬「???何を言ってるの???」となるのですが、これは理科で習ったことを少し思い出してみましょう。

消費電力(W) = 皮相電力(VA) x 力率
皮相電力(VA) = 電圧(V) x 電流(A)

これを基に……と思っても今度は「力率」って何?と深みに嵌りそうです。UPSを選ぶ際に このあたりの計算をしなければならないので素人には導入のハードルが高いと言われる所以です。ちなみに力率は電気製品の種類や機器カテゴリによって異なっていますが、PCの場合は0.65付近です。最近のハイグレードな機種(の電源ユニット)は0.7や0.8の場合もありますが今回はとりあえず0.7で考えていきましょう。

1000VA の UPSの場合は 1000(VA)×0.7(力率)=700(W)となります。

上記のざっくり計算では 1000VA の UPS は 700W 対応ということになります。PCの消費電力(W)は、かかる負荷によって異なりますし一般的に消費電力TDPで表示されますが、CPUやGPUが重い処理をしている場合や夏場のように暑い環境での利用、オーバークロック中などは瞬間的または断続的にTDPの合計を超え電力を必要とします。このような理由から UPS は少し余裕を持って選ぶ必要があります。筆者は目安として PC消費電力よりも若干大きい出力の UPS を選んでいます。

パソコンの消費電力から見る推奨UPS

ハイエンドPCの場合

CPU GPU 他の構成パーツ 液晶モニタ※ 消費電力合計
Ryzen 9 3950X
Ryzen 9 3900X
Ryzen 7 3800X
105W
or
Core i9 10900K
Core i9 9900K
Core i7 10700K
125W
or
Core i7 9700K
95W
RTX 2080Ti
RTX 2080Super
250W
or
Radeon RX5700XT
Radeon RX5700XT
265W~300W
CPUファン/ケースファン/SSD/HDD/マザーボード・メモリ
などの合計

50W~100W
30W 500W~600W
ハイエンドなシステムは強力な処理能力を得る代わりに電力消費が激しく、またこのクラスのPCを利用するユーザー層は性能重視なのでグラフィックカード2枚刺しやオーバークロックするなどの場合はシステムが耐えられるだけの大出力電源ユニットや水冷システムなど強力なサポートパーツも必要になります。UPSはこれらのパーツ群を支えられるよう大容量のものを利用することになります。

推奨UPS

ハイエンドPCの平均的な消費電力は 600W 前後です。もしグラフィックカードの2枚利用(SLIやCross Fire)する場合は 250W~300W 追加でで900W前後となります。UPSのアウトプット電力容量が満たない製品は利用することができないのでこれを支えるUPSは必然的に 600W PCでさえ 1000VA級の大容量タイプ必須となります。一般的な UPS の場合は1000VAのように「VA」表記なので一瞬 1000W 対応と勘違いしやすいのですが APC 製の UPSは公式にアウトプット電源容量(W/kva)の記載があるためワット数計算も要らずわかりやすくていいですね。このクラスでおすすめする製品を下記に掲載します。

品名:APC Smart UPS 1500 LCD 100V
型番:SMT1500J
アウトプット電力容量:980W / 1.2kVA

この UPS は最大出力 980W/1.2KVA に対応しているので、ハイエンドPCでも Core i9 や Ryzen 9 を搭載し、SLIやCrossFireのようにグラフィック機能を強化した機種に最適です。



品名:APC Smart UPS 1000 LCD 100V
型番:SMT1000J
アウトプット電力容量:670W / 1.0kVA

一般的にハイエンドPCと呼ばれるPCの消費電力は約 550W~600W となります。本機は最大出力 670W/1.0KVA なので小型の周辺機器なども同時接続可能です。例えばネット環境のための終端装置、ルーター、ハブなどを接続し一括した電源バックアップ体制を構築するのも良いかもしれませんね。



ミドルクラスPCの場合

CPU GPU 他の構成パーツ 液晶モニタ※ 消費電力合計
Ryzen 7 3700X
Ryzen 5 3600X
Ryzen 5 3600
65W
or
Core i5 9600K
95W
or
Core i5 9500
Core i5 9400
65W
RTX 2070Super
RTX 2060Super
185W~215W
or
GTX 1660Super
125W
or
Radeon RX5600XT
150W
CPUファン/ケースファン/SSD/HDD/マザーボード・メモリ
などの合計

50W~100W
30W 350W~400W
ミドルクラスは最も多くのプレイヤーが利用するクラスになります。一口にミドルクラスと言ってもミドル上位(ハイエンドと遜色ない処理性能)からミドル下位(エントリーモデルに近い)までパーツ選択の層が厚いのも特徴の一つです。選択可能な構成パーツを全て掲載することができないためここでは汎用的なモデルで利用されているものを抜粋して掲載しています。

推奨UPS

ミドルクラスのゲーミングPCに多く見られる特徴としてLED電飾が挙げられます。ミドルクラスPCではケース内部の排熱や電源ユニットにも余裕があり、付属のCPUファンやメーカー製のグラフィックカードがもとから電飾されている場合など、様々な要因からゲーミングPCと言えば電飾と言うほどメジャーなものになっています。もちろんハイエンドPCのユーザーも電飾させている場合がありますが、ハイエンドユーザーの傾向として余分な熱源を嫌う事が多い事と消費電力を少しでも抑えたいなどの理由から電飾を好むユーザーはそれほど多くありません。ある意味一番ゲーミングPCらしいミドルクラスですが、システム全体の消費電力は平均で400W。もちろん一番スペックに開きがあるクラスなのでパーツの組み合わせ次第では500W必要な場合もあります。この 400W~500W を支えるために必要な UPS は 600VA以上 の製品ですが、資金的余裕がある場合は 1000VAや1200VAなどを利用してルーターやハブなどの通信関連機器もまるごとUPS接続させるもの良いかもしれません。

品名:APC Smart-UPS 750 LCD 100V
型番:SMT750J
アウトプット電力容量:500W / 750VA

ミドルクラスの一般的な消費電力は約 350W~400W 。本機は最大出力 500W/1.0KVA なのでミドルクラスPCのためのUPSと言ってもいいかも知れません。このスペックなら電飾デコレーションしても電圧が足りないなどということも無さそうなのでPCを派手に着飾ってはどうでしょう。



品名:APC Smart UPS 1000 LCD 100V
型番:SMT1000J
アウトプット電力容量:670W / 1.0kVA

本記事ではハイエンドPC用にご紹介した機種になりますがミドルクラス(ハイミドルクラス)で利用するのに最適な UPS になります。本機は最大出力 670W/1.0KVA なのでネット環境を巻き込んだ統合型の電源バックアップ体制を構築するのも良いでしょう。



エントリークラスPCの場合

CPU GPU 他の構成パーツ 液晶モニタ※ 消費電力合計
Ryzen 3 3300X
Ryzen 3 3100
65W
or
Core i3 10100
Core i3 9100/F
65W
GTX 1650Super
GTX 1650
GTX 1050Ti
75W~100W
or
Radeon RX5500XT
135W
or
Radeon RX580
Radeon RX570
150W~185W
CPUファン/ケースファン/SSD/HDD/マザーボード・メモリ
などの合計

50W~100W
30W 300W~350W
エントリークラスではライトユーザー層が多くプレイするクラスです。ゲーミングPCではGPUを利用することを前提としていますが、ライトな利用なのであまり性能を求めない事が多く、GPUもグラフィックメモリが少なく補助電源の要らないエントリーモデルを採用している機種が多くなります。
※GPUを搭載しないPC(CPU/APU内蔵グラフィックでプレイ)を利用しているユーザーも居ますが「ゲーミングPC」としては特殊な枠に該当するので今回は別枠として扱っています。

推奨UPS

最近のエントリークラスは性能が向上し、3年~4年前のハイエンドと遜色のない性能に仕上がっています。これは総合的な技術向上だけでなくCPUやGPUの設計思想、コア数の増加、クロック数の上昇に起因するところが大きいのですが、ライトユーザーにとってたとえゲーミングPCと言えども価格重視であることは間違いありません。比較的安価でありながらもGPU(上記表を参照)を追加しただけで一定数のゲーミングタイトルを遊ぶことができます。エントリーモデルなので最新の3Dを駆使したようなゲームには向いていませんが、代わりにシステム全体としての消費電力も300W前後と低めです。

品名:APC Smart-UPS 500 LCD 100V
型番:SMT500J
アウトプット電力容量:360W / 500VA

エントリーモデルPCの消費電力は 350W程度です。このクラスではPCの改造をしないユーザーが多く(改造するくらいなら新規でミドルやハイエンドを組む事が多い)、UPSも必然的にエントリーモデルで十分ということに。おすすめはなんと言っても本機 SMT500J。お手頃なモデルでありながらもアウトプットも6基と豊富、ネットワーク機器の接続にも理想的な点は見逃せません。



ゲームも動くグラフィック内蔵型PCの場合

CPU/APU 他の構成パーツ 液晶モニタ※ 消費電力合計
Ryzen 5 3400G (GPU:RX Vega 11)
65W
or
Core i3 10100 (GPU:UHD Graphics 630)
65W
CPUファン/SSD/HDD/マザーボード・メモリ
などの合計

50W
30W 150W~200W
このクラスでは多くの場合「miniPC」と呼ばれる手のひらサイズのPCが主流になります。排熱処理の関係からできるだけ電力消費を抑えることになります。結果としてグラフィック処理はCPU/APUに任せ、GPUカード非搭載で運用となります。ただし、最近のCPU/APU統合型のグラフィックチップは性能が上がってきているのでFHDで30FPS~60FPS程度のゲームであれば動いてしまうようです。エントリーモデルとの違いは拡張性。将来グラフィックカード換装したくてもできないので本格的なゲームをプレイすることは厳しいかもしれませんが、サーバー用途であったりNASのように利用したり、何かと便利な端末です。もしこのクラスで本格的なゲームをプレイする場合はThunderbolt経由で外付けGPUユニットを利用するという選択肢もあるので場所を取らないPCとして一定の需要があります。

推奨UPS

miniPCの場合はマザーボードのVRMも多くないためハイエンドCPUは搭載できませんし、もともとPCI-eなどの拡張端子もないので拡張性は皆無です。このため消費電力は限りなく低く、周辺機器と合算で利用が望ましいでしょう。このクラスでおすすめの UPS は 200W~350Wです。

品名:APC Smart-UPS 500 LCD 100V
型番:SMT500J
アウトプット電力容量:360W / 500VA

このクラスではPCの改造はできないので周辺機器に頼ることになります。PC本体+液晶モニタ+外部ストレージ(外聞電源供給)で消費電力は多くとも 200W程度なので 本機 SMT500Jであれば 他の周辺機器の接続も可能です。



ご注意:今回の例では 電源断から 5分以内の正常なシャットダウン を目指しています。また、ゲーミングPC構成は【PC本体(スペックはCPU/GPUで表示 各表参照)】+【標準的な24インチLED FHD 液晶モニタ(消費電力30Wとする)】としています。ネットワーク機器やその他の周辺機器、電飾関連パーツを利用している場合は必要電力が異なる場合があります。周辺機器まで含めUPSをご利用になる場合は余裕を持って上位モデルを検討されることをおすすめします。 

今回おすすめの UPS バックアップ時間早見表

型番 SMT500J SMT750J SMT1000J SMT1500J
最大出力(VA) 500 750 1000 1500
最大出力(W) 360 500 670 980
VA W バックアップ時間標準値(分)
70 50 121 103 183 301
140 100 58 50 100 172
280 200 24 22 45 84
420 300 13 12 25 51
560 400 7 15 33
700 500 5 10 23
840 600 7 17
980 700 12
1120 800 10
1260 900 8
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